2022/09/19 19:45
この場(Photo-Primary)では、かなり肩の力を抜いたトークを綴っています。
いつもご覧いただく皆さま、ありがとうございます。
タイトルで釣ってしまうこともあるかもしれませんが、氣軽にお付き合いください。
今日は「ボケ感」だけが偉いわけじゃない。
です。
この言葉、もはや語り尽くされた感があります。
けれども、初めてスマホから写真に親しみはじめた方々が増えてくるに従い、「背景がトロっと溶けた」ような写真が良いんだよ。と勘違いすることも少なくないようです。
はい、
そもそも、良い・よくない...は存在しないわけでして、その人が良いと思えばそれで良いのだと思います。
ただ、先般の記事のように、コンテストの評価における点数を考える場合には、客観評価としての優劣は存在しますので、何でもいいさ、たのしければいいんだよ!だけではない世界もあることにはある、と、頭の片隅に置いておくのは否定しません。
写真に限らず、さまざまなクリエイティブの世界では、どのフィールドでも「対比」という重要な要素が存在します。
対比で語る。
対比で転換する。
対比で経過を示す。
対比で心境を表す...。などなど、無限に近くその事例が思い浮かびます。
写真で最もインパクトがあるのは「面積比」による対比だと言われます。
例えば、
漆黒の一面の夜空に、星が小さく一つ輝く。などというシチュエーション。
同じく、純白のテーブルクロス・純白のディッシュに真紅の果実...なんてのもアーティスティックなイメージを引き立てます。
まぁ、これらは今思いつきで書いたので、あまりインパクトはないかもしれません。
ただ、極端に比率が大きいことで人目を引くのは確かでしょう。
面積比の次は、色の対比でしょうか。
代表例は「赤と緑」のいわゆる補色関係にある対比。クリスマスカラーですね。
「青と黄色」これも補色関係ですが、ちょっと今の世界情勢では誤解を招くカラーリング(某国国旗のカラー)かもしれません。
いずれもともに自己主張するので、そこに面積比を折り込んで作り込む。
そんなところに構図のテクニックがあったりしますが。とめどなく長くなりますので今回はここで止めておきます。
次の要素は明暗差になりましょうか。
その次あたりに「ボケ味」のコントロールが入ってくるのではと思っています(個人的感覚)。
ボケた部分とピントが来ている部分と。
その対比で語る手法です。
その昔には、ボケを出すには絞りを開けて、より望遠側の焦点域を使って...。と、教科書には書かれていました(わたしのテキストにもそのように記載してあります)。
ところが、
現在では、ポートレートモード(背景ぼかしモード)を使うだけでスマホでも誰でも手に入る時代です。
逆説的ですが、だからこそ「何を意図し、何を心で感じ、何を折り込むのか。」が大切な世界になってきましたね。ということでもあります。
ここまで来て、ようやく今日の標題の「ボケ感だけが偉いわけじゃない」に手が届きはじめました。
そうなのです。
背景がボケるからカッコいい。
背景がボケるから対比が出てアピールする。
それ自体は間違いではありません。
でも、単にボケているだけで何ら面白くない写真も大量にあります。
webを流してみるだけ・SNSを辿ってみるだけでも容易に見つかります。
この上の白い花のサンプルも、もしかしたらそうかもしれません。わたしの心がどこまで入っているのかは大いに疑問の残るところです。
逆に、わたしの心という観点からは、以下の写真のほうが遥かに強い意図がそこに包まれています。
ご覧いただくだけでそのパワーを感じることができる人には伝わるはずです。
無理を押し付ける意図はありません。
何も感じない...というのももちろんアリです。周波数が異なればシンクロしませんので、自由な感覚で受け取ってください。
このポトスの写真では、派手なボケ感を感じる部分はありません。
ですが、冬を迎えるごとに葉を落とし、一枚だけしか残らない年もあったこの株です。冬場には毎晩、浴室まで一緒に連れて行き、湿度と暖かい気温に触れる時間をともに過ごしてきたのです。
(このスタイルが本当に良いのかどうかは不明です。もしかするとよくないかもしれません。植物の専門家にお聞きください。)
今日も元気な姿を披露してくれてありがとう。そんな思い入れがこの一枚には込められています。
「感じてみよう」とすれば、感じられるものがそこに存在しているはずです。
ということで、
少々強引な進め方になったな、と思っています。ですが、ボケ感のある写真が必ずしも「エネルギーが強い」とは限らない事例としてご覧いただければ嬉しく思います。
少なくとも、「ボケ感がないからこの写真は失敗作!」などという極端な判断が正しいとは限らない。と、伝わればと思っています。
絞りやボケ・レンズ焦点距離のことを学ぶための資料として、
以下のpdf版をご用意しています。よろしければ。
本日も最後までお読みくださいましてありがとうございました。